都響スペシャル
2011年7月18日(月・祝) 14:00開演(13:20開場) サントリーホール
指揮:アラン・ギルバート
ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調
もう、3日経ってしまった。
あまりにも素晴らしすぎて、言葉が見つからなかった。
何がすばらしかったかって、
アラン・ギルバートも、もちろんお目当てのツィンマーマン様も勿論とんでもなくすばらしかったのだけど、
まさかまさかの「都響」のオケとしての素晴らしさに、ひたすら感動の本番でした。
思い返せば、
学生の頃、マーラーの8番をサントリーで聴いて感動したのも都響だったし、
朝比奈隆がよく振りに来てた在京桶は都響と新日で、都響と共演したブル9(たしか東京文化)は、聴き手のエネルギーが全部持って行かれるような名演だった。
ハイドンバリエーションの、冒頭の木管が、この演奏会全体の成功を確信させるような、会心の演奏。
名演のときって、冒頭の音の出た瞬間に勝負がついていて、あとは安心して聞いていられることが多い。
※アマの発表会では逆に冒頭に「緊張感と恐怖感」が凝縮してあらわれる(苦笑)。
まさか前プロ冒頭ソロですでに勝手に涙が出る演奏に触れられるとは・・・。
何だかよくわからないけど、ひとりただただ泣きながら聴いてた。トシかしら(笑)。
アラン・ギルバートはとても魅力的な表情でオケを導く人だという印象。
都響のメンバーも彼に触発されつつ、オケ本来の実力を前プロからすでに最大限発揮する演奏だった。
奇をてらうところ、小細工一切なしの、至極まっとうな演奏。
でも、あの会場全体をつかんだ「空気」は本当に稀有のものだった。
当たり前だけどこういうのってぜったいCDやDVDではわからない、ライブならではのもの。
中プロで私が20年以上待ってたツィンマーマン様登場!
ベルクのコンチェルト・・・結局事前に一切聞くこともなく、プログラムの曲目紹介も読むことなく、まるっきりの初めて鑑賞。
ビックリしたのはオケの編成。え?これとバイオリン1本でやるの?という印象の編成。
弦のプルトは減らないし、アルトサックスやハープが入ったり、Trp,Trb各2本にTuba、タイコは4人もいる。
でも、ツィンマーマン様は、本当に完璧だった。たった一本のバイオリンで、時に大編成の伴奏オケをしのぐばかりの迫力を見せ、時には、Vnトップたちと美しいアンサンブルを奏で(pult1の隣に立つ感じで、彼らと完全に同調し溶け合うアンサンブルだった)・・・。
演奏時間は大体30分程度、二楽章構成の曲だが、時間は全く感じなかった。
開演から休憩時間まで、手元の時計を一切見ることなく、未聴の曲にも集中し切れることなんてなかなかない。
満席の聴衆からの鳴り止まない拍手にこたえて、ソリストアンコールまで!
そこで体験した無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番の サラバンド。
彼の無伴奏が聴けるとは!!
しかもあれだけの難易度の大曲を完璧に弾き切った直後に、
これまた一瞬にして彼の音楽世界に皆を導いてしまう、やっぱり普通のソリストとは全然違う人だった。
神々しい感じ、っていえばいいのかな、でもなんか言葉にすると陳腐だなぁ。
レーピンさまを聴くときの「わくわく感」とも、ギル&アキラを聴くときの「安心感」とも違う、
やっぱり、そこに感じたのは「神々しさ」だったと思う。
彼の演奏を生で聴けた幸せに、本当に感謝。
休憩をはさんで、ブラームスの1番。
ブラームスの4曲のシンフォニーで唯一、アマ桶で本番演奏した経験がない(苦笑)。
もったいないなぁワタシ。
都響のブラ1を聴きながら、正面に見える1stVnセクションを見ながら終始、「あそこに座りたい(爆)」「バイオリン弾きたい」って気持ちがむくむくこみあげて、弾きたい弾きたい弾きたい!!ってこれまた泣きながら聴いた。
一楽章ですでに涙・・・。われながらよく泣く演奏会じゃ。
都響の皆さんの
「プロの技術とプライド」に、彼らのコアの部分にある「音楽が好きで好きでたまらないアマチュアの心」、が加わった時、こんなに聴衆の心をとらえる演奏になるのか!
正面S席前方の何人もの聴衆の上半身が揺れてる!皆吾知らず体でリズムを取りながら無我夢中で聴いている・・・そんな光景なんて、めったに見られるものじゃない。
一楽章は私的には「踏みしめて進む」感じの演奏。
オケの重量感を支えた後方プルトが殊勲甲!
2楽章は矢部達也氏のソロが安定感があってとても魅力的。
3楽章から4楽章へはあっという間だった。
曲が進むにつれて「あぁ、終わってしまう」と切ない気分になる。
曲の終わりはわかっているのに、終わらないでほしい、もっともっと聴いていたい、そう切実に感じながら聴いた4楽章。
じっとがまんの子(笑)ののち、Trbの奏でるコラールもとても美しかった。
大変だけどこれは待つ甲斐のある曲だということを、親しいTrb奏者から聞いたことがある。
聴きながら再確認。
VaとVcセクション全体の「背中の表現」も感動ものだった。
アマ桶時代、ホントに素晴らしい奏者の後ろで弾くと、彼らの背中がまるで指揮者のように感じられて、アンサンブルが本当に楽しかったのを思い出した。
そうそう、いい音出したかったら「腕じゃなくて背中で弾くんだよ」。大学桶のVcの先生が言ってたなぁ。
アラン・ギルバートのコメントにあった「ブラームスはいかなるオーケストラにも最高のものを要求し、また最良のものを引き出す可能性を持っていると思います。」
という言葉通りの演奏だった。
都響の持つ最良のもの、確かにあった。
あの場にいた皆がそう思ったんじゃないかな。
聴きに行って、本当に良かった。
会場を後にするとき、
古川展生氏が真っ赤なチェロケースを抱えて颯爽と登場し、タクシーを待つ後姿がとてもかっこよかったと付記しておこう(笑)。
さいごに、
さっき演奏を聴きながら「バイオリン弾きたい弾きたい」って思ったと書いたけれど、
もう一人の自分は知ってる。
ブラ1を心から楽しんで演奏し、お客様にも楽しんでいただくために、何をしなければいけないかを。
どのくらいの時間をかけ、どのくらいの集中度でさらわないといけないかを。
ちょっと切ないなぁ・・・。
でも、これでいいのだ。
いまは自分の生活を地に足つけてしっかりこなして、
時々、カラオケボックスにでも行って基礎練をしよう。
やっぱり私はバイオリン、好きみたいだから。